咸陽郡德田里の磨崖如来立像

咸陽郡德田里の磨崖如来立像咸陽郡德田里の磨崖如来立像

所在地

慶南咸陽郡馬川面德田里 768-6

指定番号

宝物第375号

時代区分

高麗時代

咸陽德田里磨崖如来立像の紹介

大きな岩の片面を削って仏像を彫刻した高さ5.8mの巨大な磨崖仏で、本体と台座、そして本体の後の光背をすべて表現している。

巨体の仏像らしく顔も大きくて平たく、壮健な力を感じさせる。耳は肩まで下がり、首は比較的短く首周りに3列の三道が見える。直四角形の巨大な体躯とそれに相応しい大きな足などは、巨大な仏像の面貌を誇示している。しかし、上体に比べて下体は非常に長く、手は身体の他の部分、特に足に比べて非常に小さいため、身体の均衡が取れていない。首の中間で裏返ったスカーフ型の襟と、腹部と両足に規則的に折られ下がったU字型のひだが見える。このような形態は、高麗初期の仏像によく見られる特徴的な姿である。

光背に現われる玉を通した模様の連珠紋と花火柄、塔の基壇部模様の台座に刻まれた柱模様なども高麗初期仏像の特徴の1つである。
この仏像は、大きな岩面を削って浮き彫りにした高さ5.80mに上る巨体な磨崖仏立像である。巨体仏像らしく顔も大きくて平たいため強健な力を感じさせるが、このような特徴はこの仏像の長大な体躯にも関わらずよく表現されている。

長方形の巨大な体躯とそれに相応しい大きな足などは巨仏の面貌を誇示しているが、全盛期の新羅磨崖仏より多少は形式化が先に進んだ特徴を見せている。長方形の体躯、四角形の短い上体、身体に比べてめっきりと小さく変形された施無畏・与願印の両手と腕、そして通肩の仏衣に、首の中間で裏返ったスカーフ型の襟、腹部と両脚に規則的に折り下がったU型のひだなどは、高麗初期仏像の様式的な特徴である。

この点は連珠紋と火焔紋が刻まれた舟形挙身光背と柱を刻んだ塔基壇部模様の台座にも現われているため、高麗初期の磨崖仏様式を代表するに値する傑作と考えられる。